「楓」だけじゃない、スピッツの『1文字曲名』『生き物曲名』たち

「楓」だけじゃない、スピッツの『1文字曲名』『生き物曲名』たち

2017年、午後の紅茶のCMで使用された「楓」のカバー

上白石萌歌が歌う「楓」

上白石萌歌によってカバーされた「楓」。

冬の情景と澄んだ歌声、草野マサムネが書いた歌詞の調和で話題になり、「楓」を知らない世代からも「あれは何ていう曲?」「スピッツの歌だったなんて!」と好意的に受け入れられました。

結果ビルボードジャパンチャートでは圏外から28位に、レコチョクの週間ランキングでも3位にと急上昇。リバイバルブームとなりました。

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原曲は1998年発売

「楓/スピカ」として両A面シングルの形で発売されました。

当時はTBS系「COUNT DOWN TV」のオープニングテーマにもなっています。

上記の他にも松任谷由実やBENIなど様々なミュージシャンにカバーされている人気曲であり、YouTubeにおけるスピッツのPV再生回数は「ロビンソン」「チェリー」「空も飛べるはず」の三大ヒット曲に次ぐ4位につけています(2018年6月現在)。

草野マサムネは「楓」について、ライブで「スピッツの中でもちゃんとした『バラード』っていう感じの曲」という紹介をしていました。

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スピッツならでは?直接的を避ける、タイトルの妙

聴き手に委ねる、スピッツの曲名たち

スピッツをある程度聴いている人ならなんとなくお気づきかもしれませんが、スピッツの曲には「楓」に限らず1文字のタイトル、それに自然や植物を用いた曲名が何曲もあります。

草野マサムネは以前からその独特で抽象的とされることの多い歌詞について深く語ることをせず、あくまで深い意味はないだとか、聴き手の捉え方に委ねるというような姿勢を取っています。

それは曲名についても同じことで、曲内容をことさらに説明するような付け方はあまりせず、傾向としては連用修飾語+述語の文(「月に帰る」「鈴虫を飼う」「ただ春を待つ」「夜を駆ける」など)や抽象的な物質名詞(「テレビ」「魔法」「プール」「ハチミツ」など)が多く見られます。

そして後者でもさらに顕著なのが、先の「1文字」「生き物」タイトルです。

シンプルの極致「1文字の曲名」

ファンの間でも「スピッツの1文字曲に外れなし」と噂されているこの括り。

「ハヤテ」「アカネ」「ホタル」などあえて漢字表記でない曲たちも含め、いつか子供ができたら名付けたい曲名という声も頷けます。

アルファベットを含む全8曲。

『ハヤブサ』収録。ロック色の強いアルバムへ1曲目から引き込む短い曲です。

『インディゴ地平線』収録。「ポッキー坂恋物語」のCMを爽やかに演出したシングル曲。

『オーロラになれなかった人のために』収録。弦楽をバックにした草野のソロ曲のような趣き。

Y

『ハチミツ』収録。Yは分かれ道の意味もあるとか。「白線流し」挿入歌にも。

『99ep』収録。「涙」「Y」とともに「ハチミツとクローバー」挿入歌になっています。

P

『さざなみCD』収録。同じアルファベット1語曲「Y」と同様、しっとりしたバラード。

『さざなみCD』収録。アルバム名に1文字では弱いということでそちらは平仮名になったとか。

『さざなみCD』収録。同アルバムは1文字曲の宝庫ですね。

花、虫、動物・・・「生き物の曲名」

草野という姓がもはや自然と調和しているようにすら思えるマサムネ。

かつて雑誌の取材で「人間みたいな行き過ぎたことをしちゃう生き物は星にとってのゴミ」と話し、東日本大震災ではその惨状に胸を痛めライブを延期したほど。

そんな(バンド名がすでに犬の名前の)スピッツ、広義の「生き物」曲です。

こちらは多いので抜粋。)

動物

海ねこ

『オーロラになれなかった人のために』収録。ミャーオミャーオと鳴くカモメ科の鳥です。

スパイダー

『空の飛び方』収録。<僕>を投影する比喩として生き物を用いる例のひとつ。

グラスホッパー

『ハチミツ』収録。GrassのHopperでバッタ。スピッツの所属事務所名にもなっています。

宇宙虫

『ハヤブサ』収録。水木しげる作品に出てくる架空の虫です。インスト曲。

ホタル

『ハヤブサ』収録。仄かな光で人間に愛される人気者です。

ハネモノ

『三日月ロック』収録。マサムネ曰く「羽のような生き物」という意味の造語。

夢追い虫

『色色衣』収録。これも架空の虫。ジャケットの虫がそうかな?

トビウオ

『さざなみCD』収録。海面を飛び跳ねるトビウオになれ!と訴える元気な曲。

シロクマ

『とげまる』収録。PVの<すごく疲れたシロクマ>のアニメが愛らしい。

オケラ

『おるたな』収録。正式にはケラに「お」がついて俗称でオケラ。

未来コオロギ

『小さな生き物』収録。これまた架空の虫。パラレルワールド。

小さな生き物

『小さな生き物』収録。お得意の抽象的なネーミング。アルバム名にもなっています。

オパビニア

『小さな生き物』収録。カンブリア紀の海に生息していた動物です。

スワン

『小さな生き物』収録。swan=白鳥ですが、他に歌手や詩人の意も。

子グマ! 子グマ!

『醒めない』収録。Czecho No Republicのタカハシマイがコーラスで参加。

モニャモニャ

『醒めない』収録。ジャケットに写っている生き物のことだそうです。

植物

タンポポ

『スピッツ』収録。ふんづけられてもまた起きます。

ラズベリー

『空の飛び方』収録。ラズベリーのように甘酸っぱくてエッチ!

ヘチマの花

『空の飛び方』収録。珍しいデュエット曲(相手の寺本りえ子は現フードコーディネーター)。

チェリー

『インディゴ地平線』収録。超大ヒット曲。桜?さくらんぼ?それとも・・・。

コスモス

『花鳥風月』収録。<鮮やかな>花と裏腹に、スピッツのテーマの1つ「死」を連想させる曲調。

トゲトゲの木

『花鳥風月』収録。これまた抽象的なタイトル。歌謡曲みたいなコーラスです。

ガーベラ

『三日月ロック』収録。「コスモス」同様、カラフルで愛らしい花ながらのバラード。

稲穂

『色色衣』収録。黄金色の稲穂が目に浮かびます。

若葉

『とげまる』収録。どちらかというと、若葉の頃を思い出す曲でしょうか。

リコリス

『おるたな』収録。彼岸花のLycorisと甘草のliquoriceがありますが、<その笑顔はリコリス味>とあることから毒を持つ前者ではないはず。ただし後者もかなりまずいらしく、どちらにしても・・・。

ヒビスクス

『醒めない』収録。ラテン語でハイビスカス(=<白い花>)のこと。

最後に

印象として自然を言葉にした楽曲が多いとは思っていましたが、いざ一覧にしてみると本当に多い!

そして動物の中でも(特に『おるたな』までにかけて)虫が多いこと。

『小さな生き物』で動物が多く出たのはアルバムの文字通りのコンセプトでしょうか。

1文字曲については近年は減ってきているようです。それでも噂に違わぬ人気曲ぶり。

曲名でなぞるというのも面白いものでした。

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